映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリント・イーストウッド 監督「目撃」1457本目

よくできたエンターテインメント作品だった。

意外性もちょこちょこあり、勧善懲悪のカタルシスもあり、80年代の香りもあり。
イーストウッド監督の初期って、「恐怖のメロディ」でもそうだったけど、「えっか弱い女性が恐怖のストーカー!?」とか「えっこんなエライヒトがこんな不倫の末に殺人を!?」とか、大衆の期待をちょうど気持ちいいくらいの度合いで裏切るのがうまい。「それって・・・アリなんだ。そうかー」くらいで落ち着くあたり。

本人が演じる希代の大泥棒、VHS録画ができない機械オンチを演じつつ電子回路に精通していたり、年金暮らしをしながら趣味で絵画教室に通ったり、趣味のように泥棒を働いたりするんだけど、娘には嫌われてるあたりが、これもまたいい頃合いで、嫌味にならない。
リベラルだけど、そうやって大衆にカタルシスを与えてくれるあたりがやっぱりトランプ率いる共和党の支持者なんだなぁ。みんなが求めているのは、「やったらスカッとするだろうけど、リスクが大きすぎて自分ではできないことを、代わりにやってくれるヒーロー」なのかもしれません。

目撃 [DVD]

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