映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マーティン・スコセッシ 監督「ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム」1459本目

2005年、11年前の映画。
No direction homeというのは彼の代表曲のひとつ「Like a rolling stone」の中の歌詞で、タイトルと韻をふむサビの部分なので、タイトルを聞いただけでどういう映画かわかる人も多いでしょう。

マーティン・スコセッシは「ラストワルツ」だの「ウッドストック」だの「シャイン・ア・ライツ」だのを撮った筋金入りのロック監督なので、この映画も音楽業界の人が撮ったかのような居心地のよさ、違和感のなさがあります。しかし200分っていったいどういう長さだ。ウッドストックじゃあるまいし、ひとりのアーティストのドキュメンタリーの長さとしては破格な気がします。

新しい発見としては、ディランがソングライターとしてまずメインストリームに取り上げられたということ。
で、いろんな人が歌って大ヒットした。だから、今までになかったその詩(「風に吹かれて」とかね)が最初から注目されたんだな。

ロードムービー的なドキュメンタリーなので、あとは特に印象に残ったことをあげていきます:
オデッタという女性シンガーの「Waterboy」、圧巻ですね。すごいシンガーがいたんだなぁ!
ジョーン・バエズもマリア・マルダーも、名前だけでほとんど歌を聞いたことがなかったけど、素晴らしいですね。
大好きなSubterranean Homesick Bluesもかかったし。
「Like a Rolling Stone」は冒頭のオルガンがあったおかげで、ここまでの名曲に仕上がったのは間違いないけど、それがアル・クーパーがでっち上げたものだとは。いいエピソードだ!
ザ・バンド(一時期はまってたことがある)の演奏は感動です。アンサンブルというのはこういうものだ。バンドのメンバーが愛し合ってる感じがする。全盛期の若くて美しい彼らの姿。よっぽど弱そうだったディランが今も元気でノーベル賞をもらって、リック・ダンコもリチャード・マニュエルもリヴォン・ヘルムももういない。


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