映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マノエル・ド・オリヴェイラ 監督「コロンブス 永遠の海」1489本目

いつも出てるこの好青年(リカルド・トレパ )は、監督の孫なんですね。
この映画には、その青年と美しい嫁の老後の姿として、監督夫妻ご自身が出演しています。
なんかすごい家庭内手工業感!

うむ、なんだろう、この人の映画は他の映画監督と考え方が根本的に違う。
この映画はドキュメンタリーのようで、教養(もっと言うと教育的)映画のようで、オリヴェイラ監督にポルトガルの街を案内されながらちょっとお説教でもされているような気持ちになります。

それなのになぜこの監督の映画を見続けているか。それはキネマ旬報ベストテン入賞作品を片っ端からTSUTAYA DISCUSのリストに突っ込んでるからだ!(笑)
このベストテンって割と偏ってる気がします。ヒッチコック作品がほとんど入ってなかったり、高倉健の出演映画が多く、フェリーニも多い、とか書いた記憶もあります。偏りがあるのは正直な証拠なのでいいのですが、この選定委員にオリヴェイラ好きがいなかったら、私はこんなにこの監督の作品を見てないはず。

大航海時代に栄華を極めた過去をずっと引きずっているポルトガルの人にとって、コロンブスの生家を尋ねることは重要なライフイベントなのかな。正直彼がなに人でもあまり興味はないけど・・・。

穏やかで暖かく美しいポルトガルの街並み。その穏やかさはヨーロッパの中で今地味な存在になっているこの国の、過去に対する強い思いの上に成り立っているわけなのですね。