映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

真利子哲也 監督「ディストラクション・ベイビーズ」1495本目

ひたすら何でだか本気の暴力を続ける、目力のすごい男が映ってるなぁという感じで、よく理解はできなかった。不思議と怖くはない。痛いんだろうなぁ、拳の本当の痛さは刺すような感じじゃなくて、ボスっと鈍くいつまでも痛いのかな、とか思いながら見てた。

つまり、多分、聞き飽きたような殴り合いの効果音を使ってないところが良い。人を殴るときに歯を食いしばったりしないで、はげしい性欲みたいに、殴りたいから殴ってしまんだ、という雰囲気が良い。
若いのに、もうフレッシュなところが何もなくて、心が荒れ果てた子たちが暴力に走る、という虚構が・・・それほど虚構に見えない時代。一人一人の中にたっぷり蓄積したストレスが出口を見つけるためにこの映画ができた。という感じです。

音楽がニルヴァーナみたいにやさぐれててカッコイイと思ったら向井秀徳だ。まさにぴったり。