映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

富田克也監督「バンコクナイツ」1524本目

この監督の「サウダーヂ」って映画をずっと見たいと思ってるんだけど、DVDレンタルしてないし、上映館を探し続けるのもしんどくて、これで初めてこの監督の作品を見ました。@テアトル新宿

最近こういう、プロの役者じゃない人たちを起用した映画が面白い。(例:恋の渦、ハッピーアワー、滝を見にいく、etc)実際にバンコクで働く風俗嬢を俳優に起用した、と書いてあるサイトもありました。主役が監督だというのは見た後で知りました。それ以外の女衒やったり買春したりする日本人男性も、関係者とかが演じてるのかなぁ。主役含めて全員、なんかこう、普通っぽいのに変にギラギラしてて妙なアクがあって、アジアのどこかに沈んでいそうなリアリティがありました。ちょっと、イヤな感じ。いい人そうなんだけどなぜか。

バンコクは数年前に行ったんだけど、日本語の大きな看板が並んでる異様な飲食街を通り抜けたり、ツアーに単独参加してた日本人男性(近隣のイスラム教国に単身赴任中)がツアー後に夜の街に繰り出すのを目撃したり、自分自身もタクシーやらマッサージやら、あらゆるところでぼったくられそうになってかなり神経を使ったりと、わずか数日ながらこの映画で追認される様々な日本人像をまざまざと感じざるを得ない経験をしました。(ベトナムでも同じような感じの日本男性がいたなぁ)

この映画は、いろんな伏線?が収拾されないまま放置されている箇所がいくつもあって、(途中で一部寝てしまったこともあり)ちゃんと理解しようと思ってまじめに見るとはぐらかされてしまうんだけど、率直に言って、面白かった。中心的なテーマに「日本人男性が東南アジア諸国で現地女性を買春しまくっていること」というムナクソ悪い事実があるので、いやな気持ちになる人もいると思うけど、・・・こんなこと書くと一部の人たちに敵視されそうだけど、明治時代の日本のスパイの手記を読んでいてもロシア〜中国のあらゆる商都に日本人娼婦宿があったりして、嫌だと思うけど昔っからあってこの先も多分なくならないのが売買春なんだろうとも思う。戦争やいじめが昔からあって今後も多分なくならないのと同じ。という環境のなかで、少しでも自分なりの仕事を頑張って実家に仕送りをして、家族を養ってきた女性たちは美しいと思うのです。