2009年か。意外と前ですね。
原作を読んだとき、救いのない話だなーと思いました。配役を見てきっと美しい映画だろうと思ったけど、あんなに短い話をどうやって114分にするんだ、無理に引き伸ばした感じの映画なんじゃないか、と少し不安になりました。
見てみたら引き伸ばした感じは全くありませんでした。もともと、生活を描いたお話だから、日常生活を映像にすれば小説に出てこなかった居酒屋での会話や、沈黙もある。このお話はもともと114分間くらいのお話だったんだ、と思います。
松たか子は、美しさも図太さも、全て含めてやっぱり良いですね。浅野忠信は、ちょっとナイーブすぎる感じもする。映画としてはそこが女たちに愛される”かわいさ”につながるけど、太宰治という人は、これほどどうしようもない男でありながら、どうしようもない自分を裁判官のように冷徹に観察して描ける鋭利な知性があった人で、そこの鋭さが、あえて?描かれてないなと思います。
広末涼子は、こんなに大人になってしまっていたのは衝撃だけど、少女のころに妖精のようだった雰囲気が大人になったら幽霊のようになっていて(※美しいという意味です)、妙にしっくりくる役どころでした。
原作の妻夫木くんに当たる人はもっといやらしい男で、私は妻が強姦される嫌な場面を覚悟して見ていたんだけど、あくまでも清潔に美しく描かれていたのが、映画としては成功だと思います。
堤真一は原作ではどんな人だったろう?なぜか全く覚えてないので、もう一度読み返してみようかな。
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