映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

西川美和監督「永い言い訳」1553本目

(ネタバレあり)
モッくんいじめか?と思った。なんか西川監督の映画にしてはヒネリがない。プレイボーイを気取ってる男(モッくん演じるサチオ)が妻の死をきっかけに家庭や子どもにふれあい、元の生活に戻る。普通だ。オチがない。いつもみたいにもっとイジワルしてくれないのか。逆に、強面だけど熱い大宮(竹原ピストル)の苦々しい悪の部分とか見えてこないのか。
見えてきた、といえばきたのか。モッくん演じるサチオの方が子どもたちとあっという間に深くわかりあえた。サチオが一緒にいたい子どもたちは彼のものではなく、大宮パパが思い続けた妻はもう手の中にいない。子どもたちは少し荒れつつある。誰もいい方に向かっていない。それが今回の「イジワル」なのかな。

最近のウディ・アレンは、強い存在感の俳優を主役に起用して、イメージを崩して、みんなを早口で偏執狂的でどこかおかしい人物に仕上げる、ということを続けてると思うのですが、西川監督も、数々のイケメンのイメージをちょっとズルくて情けない人物にする、という作品を重ねていくつもりなのかしら。

それにしても、劇中の幼児番組「ちゃぷちゃぷローリー」が気になってエンドクレジットまで見てしまった。

永い言い訳

永い言い訳