映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンドレイ・タルコフスキー 監督「鏡」1587本目

惑星ソラリス」「ノスタルジア」etcのロシアの巨匠タルコフスキー
銅像の静止画の「モスフィルム」の冒頭からワクワクしてきます。

難解というか、単純な理解(見た人がわかったような気になること)を求めてない映画なので、断片的な記憶を私たちは追体験すればいいのかなと思います。

やたらと雨が降ります。「ノスタルジア」では室内に降る土砂降りになんとなくヘキエキしてしまったけど、あれが冒頭すぐまた出てきます。母であり妻である一人の女性が、印刷所でミスを恐るときの屋外でも降ります。

主演のマルガリータ・テレホワ、美しいですね。豊かで優しい、典型的なロシア女性の美しさ。タシケント出身とありますが、それってウズベキスタンですね。旧ソ連時代にはあの街にももっとロシア系の住人がたくさんいたのかな。
彼女が「ニヤリ」とする場面。鶏をつぶすように言われてなたを振り落とした瞬間。最後に、息子とその祖母が歩き去っていく場面。ここだけなんだか説明的でわかりやすい「ニヤリ」なんだけど、このわざとらしさはなんなんでしょうね?貞淑、でもないこの女性の中の、悪を楽しむような部分を強調せざるを得ない思いがあったんでしょうか。。。

ともあれ、大きくて豊かでちょっと枯れたロシアの人々と風景を満喫できてお腹いっぱいになりました。

鏡【デジタル完全復元版】 [DVD]

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