映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ミケランジェロ・アントニオーニ 監督「情事」1599本目

1960年のイタリア映画。
ちょっと怖いけど、よくあること、として受け入れなきゃと頭のどこかで思っている。
島で行方不明になった女性が、あまりにも瞬間的に過去の人になってしまうのが恐ろしい。
本当に彼女はどうなったんだろう。愛が冷めてしまった男に、最後に嫌がらせをするために船をチャーターして失踪を演出した、んだったらいいのに。こんなことで誰も自殺なんてしてほしくないです。

そして男は彼女の親友に恋をする。男は、恋をしつつも他の女性にさらに目移りする。女はもう独占欲でいっぱいになってるのに。(だってイタリアだもんしょうがないよね?)男はハナミズまで垂らしながら女の前で泣いて見せるんだけど、これって何?人間のなかには、性欲に支配されたケモノも存在するというかなしみを描いた映画なのかしら。アイズ・ワイド・シャットもそういう趣旨の映画だったんだろうか。

だからけっきょく、愛ってなによ?(つまり、何をどういう風に描こうとしてるのかしら。)
フェリーニにしろ、私は欲望に流されたり虚飾を愛する人たちの映画にはちっとも共感を覚えないので、このギャップは埋められないんだろうな、一生・・・。