映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デイヴィッド・リンチ監督「インランド・エンパイア」1622本目

2006年の作品。
マルホランド・ドライブ」にも増して謎に満ちた実験的映画。
主役の女優ニッキーが撮影中の「暗い明日の空の上で」は、主役の二人が殺されたことで完成を見なかった映画のリメイク。映画の中で不倫を演じる相手デヴォンと、映画の外でも不倫に陥るニッキー。ああ、元映画の二人もそれで夫や妻の恨みを買って殺されたのか・・・つまりリメイクでもハリウッド俳優が二人殺されるってことか〜?という恐れをもってこの映画を見るところからスタート。

「ウサギの家」はなんとなく可愛いけど、ペンギンをかぶった「ペンギンカフェ」の人たちみたいにちょっと異様。

すべて種明かしをしてしまうのがつまらないというか、意味がないと監督が思っている理由は多分、「意味はないから」なのかな。マルホランドドライブの時も、主人公の頭の中に事実や妄想が行き来する。事実は彼女の恐れによって歪められ、その結果見せられる映像それ自体に意味があるわけじゃない・・・。事実は明かされないので、妄想のほうから、事実何が起こったかを推理していくことになります。けむに巻かれながら推理をするその過程がこの監督の映画の楽しみ、ということだな。

デイヴィッド・リンチって・・・謎ですね。
彼の正体はいったい誰なんだろう。彼自身になにか過去があって隠し続けたいことがあるんだろうか。財団とかやってていい人みたいだし、誰に何があってもいいんだけど、ついつい深掘りしたくなってしまう・・・。

インランド・エンパイア [DVD]

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