映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エミール・クストリッツァ 「黒猫・白猫」1690本目

アンダーグラウンド」を撮ったユーゴスラビアの監督、エミール・クストリッツァの作品。
ユーゴスラビアの愛すべき「チンピラ」たちの、やさぐれっぷりが最高。すごーく土着感があっていいなぁ。このヨゴレ感。この人たち俳優かしら。本物のちんぴらさんじゃないの?あまりにもリアルで、自分が現地に紛れ込んでしまったような、花や油や肉の匂いまでしてくるようなリアルさが嬉しいです。

ヨーロッパというより「アジア」(ヨーロッパで言う中東あたり)のような、「ジプシー」のような、中南米にも近いようでもある不思議な賑やかさがまぶしいです。人々の風貌は混血っぽい人が多い。いいなぁ、ごった煮っぽいなぁ。

主人公の男の子が、グダグダな大人たちに憧れたり呆れたりしてる目のキラキラが素敵。
彼を誘惑する年上のお姉ちゃんは、ワイルドで開けっぴろげでカッコいい。
金歯や歯抜けの悪いやつたちは、手塚治虫のマンガに昔出てきてたキャラクターみたいにデフォルメされてて最高におかしい。

本のちまちまとした家で暮らして、ちまちまとした会社でこじんまりと生活してると、こういう行き当たりばったりの生活がまぶしいですよね。。。
ストーリーもドタバタで楽しいし、人々はキラキラ、ギラギラしてるし、建物も食べ物も何もかもが新鮮。

アンダーグラウンド」「パパは出張中!」とこれと3本見てきて、改めて感じるのは監督のふところの広さ、かなぁ。悪いやつもいいやつも、みんな肯定されてる喧騒の世界。普段の生活に行き詰まったときにぜひまた見たい。

黒猫・白猫 [DVD]

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