この映画の評判を当時聞いた覚えもあるんだけど、不思議と見ないまま来ていました。
どれだけ悪趣味かということは、すでに見た人の感想とかでだいたいわかってたし、映画の中でもちゃんと時間をかけて語られるので、お化け屋敷の作り物みたいな気持ちで冷静に見ました。
人間よりむしろ、食肉にされる家畜とはいえ、動物の支隊が累々と並ぶ殺戮映画だなぁとも思います。家畜を食することをグロとして描くことこそ悪趣味だ。感謝して押し戴いてほしいです。
<ネタバレあり>
アクの強い大泥棒を演じているのは、今や賢明なダンブルドア校長となったマイケル・ガンボン。確かにこの顔だ、シェークスピア俳優みたいな。妻が毅然として戻ってきた瞬間、「何事もなかったようにやり直そう」と言ってみたり、変わり果てたマイケルの前で単なるビビりになってしまうあたり、つまんない男だね・・・。
ヘレン・ミレンは若くて清潔な感じですね。すっかり貫禄のある今の姿の方が馴染みがあります。しかし愛人マイケル役アラン・ハワードは地味すぎないかしら・・・。ティム・ロスはいつもの、つかみどころのない愛嬌がやっぱりいいです。
で、この映画全体のことをいうと、ホドロフスキーみたいな本物の変態(失礼)と違って偽悪的で、「気色悪さを狙いつつ、今時っぽいスタイリッシュさにもこだわる」感じが普通でした。