映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

オーソン・ウェルズ監督「上海から来た女」1953本目

オーソン・ウェルズの、オーソン・ウェルズによる、オーソン・ウェルズのためのオーソン・ウェルズ劇場なのですが、独特の古めかしい耽美の世界があって一種の美しさがあります。でも彼の美学は見た目に徹底的にこだわるというより、リタ・ヘイワースという当時の美人アイコンと自分をモチーフににした、ハードボイルド的な世界。

逃亡中に目覚める遊園地の一室は、名作「カリガリ博士」みたいですね。オーソン・ウェルズきっと「カリガリ博士」見てただろうなぁ。

ストーリーは、それほど複雑じゃないものをひねってひねって複雑にしたようで、なかなか映画の筋が追えない私には難しかったです。

DVDの特典に、ピーター・ボグダノヴィッチ監督による解説が入っててびっくり。「ラスト・ショー」とか「ペーパームーン」とか彼の作品は私好みなので、その監督がオーソンウェルズ評論家というのは意外です。そして、リタ・ヘイワースオーソン・ウェルズの妻だったと聞いてまたびっくり。知らなかった!

この映画は、私としては、ウェルズとヘイワース以外のアクの強い俳優陣の方に惹かれました。

「上海から来た女」がサンフランシスコのチャイナ・タウンで倒れるってのも、できすぎててウェルズ監督っぽい気がします。ゾワっとする神秘、謎、の感覚が楽しめる作品です。

上海から来た女 [DVD]

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