映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリストフ・バラティエ 監督「コーラス」1993本目

暗いというか、光が足りないヨーロッパ的な画面。日照が弱いのかなぁ。 

「池の底」っていう名前自体がひどい、フランスの子ども用寄宿舎。冷た〜い空気が蔓延するその場所に、見るからに愛嬌のあるおじさん教師が赴任してくる。彼は自分が書いていた曲を彼らに歌わせて、世にも美しいハーモニーの少年合唱団がそこに形成されていく。

ものすごく大雑把にいうと、この前に見た「スクール・オブ・ロック」のフランス版。子どもたちの歌声が美しく暗いヨーロッパの背景に響いてジーンとくる、という点が「アメリカ版」との最大の違いか・・・。この映画の場合、エンディングが、「みんなが望むけど現実には多分ムリ」というところを実現して終わるあたり、フランスの人たちの気持ちを癒して大ヒットにつながったのかなーと思います。

ストーリーが“ありきたり”かどうかが映画の唯一の価値ではないんですよね。「厳しすぎる規律の中でがんじがらめになっている子どもたちを、新任の変わり者教師が音楽で幸せにする」だけで、これほどのバリエーションを作れるのが映画マジック。これからもこの映画の別バージョンが世界中で作られるとしたら、見届けてみたいです。

コーラス メモリアル・エディション [DVD]

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