もしやと思ったらやっぱりミシェル・ウィリアムズ。アンラッキーな妻を演じさせたら当代一の女優。でももう泣き寝入りはしない。今回は彼女が主役だ!
誘拐ものといっても、家族が大泣きして警察が物々しく家じゅうにいて逆探知して・・・という流れではなく、大富豪が”あえて”身代金を払わないというところがスタートだから面白い。
大富豪ゲティ翁はドケチだけどただのケチじゃない。転んだ孫をタダで起き上がらせる男ではありません。ケヴィン・スペイシーは(品行はともかく)好きな俳優だけど、良くも悪くも色気がありすぎるので、金以外に興味のないゲティ翁の役はクリストファー・プラマーで正解だったのでは。しかし彼の「戦略」には学ぶところもある。すぐに全額払っていたら、親類縁者の誘拐を試みる悪党が後を絶たず、お金だけじゃなく彼らの命まで取られてしまいかねないから。犯人たちが欲しいものが金で、こっちが渡したくないのが命なら、耳を切られる(恐ろしいことだけど死にはしない)まで出し渋るというのは愚かではないのかもしれない。
実際はゲティ翁が亡くなったのは孫が無事発見された数年後らしいので、あの後、身代金を値切られた孫と翁との会話がどんなだったのか見てみたかったかも。
それよりも、ゲティ美術館に一体どれほどのものが収められてるのかが気になります。もしLAに行くことがあったら、絶対行ってみよう・・・。