映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

チョ・ソンホ監督「エンドレス 繰り返される悪夢」1705本目

去年の12月に日本でも公開したばかりの韓国映画
この年末はアエロメヒコ航空を使ったのですが、13時間も乗るので新作映画みるぞー!という期待は完全スルーでした。これが日系か米系ならスターウォーズ見られただろうか…。で、実際に往復のフライトで見たのは、劇場でも見た「ベイビー・ドライバー」と日本未公開の「Girls Trip(アメリカ映画、マルコム・D・リー監督)」、「Abracadabra(スペイン映画、パブロ・ベルヘル監督)」の4本。日本からメキシコシティメキシコシティからハバナと乗り継いだら機内エンタメは同じだった。だったら、本数の多いラテンアメリカ内の乗客に人気の作品を揃えるのは当然ですね。

韓国映画の新作が乗ってる事情はわかりませんが、行きの12月28日発の便には載ってなかったのが、帰りの1月2日の便には載ってたという新作。感想としては、設定は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のような”短期ループもの”ですが、韓国なんで熱い。号泣しながら殴りあい続けるようなほとばしる激情が胸を打ちます。その感情に観客を共感させるために必要なのは、愛するものの死しかありません。息子の死、娘の死、妻の死。それぞれの業を抱えた3人の男たちだけが何度でも何度でも同じ時間を繰り返し続けます。SFっぽくならず、あくまでも愛のドラマに仕上げるところが韓国っぽいですね。こう書いてるといかにも類型的な映画なのですが、まんまと号泣させられてしまった私は、割と韓国的な情感が備わってるのでしょうか。

もしこれが現実だと考えると、設定にはいろいろ無理がありますが、ファンタジーとして見たほうが良いかと。
ちゃんちゃん、という結末ではありますが、面白かったですよ。