映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

パブロ・ベルヘル監督「Abracadabra」1707本目

アエロメヒコの機内で見た2017年のスペイン映画。おそらく英語字幕で見たはず。これ日本で上映されることも、ソフト化されることもないだろうなぁ。割と面白かったのですが。

KINENOTEにも載ってないので細かくご紹介しますと・・
主婦のカルメンマリベル・ベルドゥ)は、サッカー一辺倒で荒っぽい夫カルロス(アントニオ・デ・ラ・トーレ)と、言うことを聞かない娘トニー(プリシラ・デルガード)に振り回されっぱなし。姪の結婚式の余興で、いとこのぺぺ(ホセ・モタ)が素人ながら催眠術を披露したら、夫に降臨したのは昔の殺人鬼(ジャヴィア・アントン)だった・・・。

この後は、悪霊払いを試みるために過去の新聞を調べたり、インチキ除霊師を呼んで怪しい儀式をやったりしているうちに、しまいには夫と殺人鬼と彼女の3人が真っ白い霊世界で最終対決に至ります。サスペンスではなくコメディ映画なので、いちいち愉快なのですが、印象に残るのはカルメンのたくましさですね。ビビらず常に男たちをリードし、ラストでは(※ネタバレです)二人の男を両方ともしばいて自分一人で式場から立ち去って行きます。その姿が清々しくて、色々無理のあるストーリーも設定もどうでもよくなります(笑)。

マルベル・ベルドゥって、「天国の口、終りの楽園」で少年たちを誘惑したあのお姉さんだったんですね。(いいなぁ・・・)えーと、「パンズ・ラビリンス」では革命家の弟をかばう優しい家政婦。意外とこの人、見てました。この3本全く性質の違う役柄ばかりで、彼女の演技力の幅広さを思い知りますね。すごいです。

海外に行くと見えてくる風景の中には、こういう映画との出会いもあるんですよね。次はいつ行けるかな・・・。