ギリシャの監督のはずだけど、主役の「A」(ハーヴェイ・カイテル)が英語をしゃべるし(※一部ギリシャ語)、イタリアとフランスの合作映画だし、ロシアみたいな場面がいくつも出てくるし(頭だけの巨大な彫像をクレーンで吊り下げてるのは、「グッバイレーニン」を思い出してるだけかな)、ちょっと不思議な映画です。
マイペースに自国語をしゃべり続けてるのは、Aだけじゃなくて全員そうみたいだ。わからない言語ばかりだし、ドナウ河の流域がどの国とどの国に渡っているのか、地理関係もわかってないし、歴史も知らないし、そもそもどの国が社会主義国かもわからない。こういう映画は、DVDでゆっくり見ながら徹底的に調べ物をした方が面白くなります。
というわけで、ドナウ河の流域の国々はこちら: ルーマニア、ハンガリー、オーストリア、セルビア、ドイツ、スロバキア、ブルガリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、ウクライナ、チェコ、スロベニア、モルドバ、スイス、イタリア、ポーランド、アルバニア。なんとWikipediaで17カ国も示されています。(ギリシャ入ってないじゃん)島国の私からは到底想像もできない。ヨーロッパの歴史を、川とたどるだけでどれほど語れるでしょう!・・・つまりこれが監督の意図で、(といっても映画だけではわからないのでKINENOTEの解説から)ギリシャ〜アルバニア〜マケドニア〜ブルガリア〜ルーマニア(※ここからドナウ河を上る)〜セルビア〜ボスニア・ヘルツェゴビナに至ります。
旅する映画を作る監督なんだよな。近代史をたどる旅。誰も糾弾しないけど、倒れた人たちと、旅を続ける人たちに優しい気持ちを注ぐ。・・・だから、正直意味は正確に受けとめられていないけど、この監督の映画はなんだか良いのです。
失われていたフィルムを現像することは、過去をきちんと見直して受け留める意味を持つのでしょう。そこに到るまでに通り過ぎてきた、失われた人たちの心も、そこには込められているように思います。
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2014/08/08
- メディア: DVD
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