映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

石井裕也監督「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」1725本目

字の多い映画。
元が詩なんだからそうなるか。
元々が詩人である園子温にもそんな作品があるな。
チャットモンチーの歌詞みたいな世界だなぁ。でもこの映画(原作の詩)を書いた人は、自分は賢いと思ってる感じがする。どこが違うんだろう?

でもこうやって見てみると意外と、ひとり語りって何も伝わらない。看護師でガールズバーバーテンダーである( であった)この女性が、心の中だけにある言葉を聞けば聞くほど、一番奥にあるものが遠くなっていくような。

池松壮亮がしゃべりすぎる男をやってるのがどうもしっくり来ない。しゃべるならもっとうわ言みたいに、古舘伊知郎みたいにしゃべってほしかったなぁ。でなければ、ブツブツと何言ってるかわからない男でもよかった。
・・・はっ!石橋静河って石橋凌原田美枝子の子なんだ!どうりで若いのに妙に目が据わってる。今回は珍しく、池松壮亮のほうが食われてる。不思議と、映画が進むにつれて彼女の戸惑いが表面に現れてくるんだけど、それでも映画ってものに負けてない。まっすぐ向き合ってる姿がなんともいえず強い。存在感が重いよね。踊りをやってる人だから身体がこれほどしっかりしてるのかな。

「がんば〜れ〜♪」
随時はさみこまれるこの歌が4コママンガみたいでいいんだけど、最近は「がんばれ」って言われるのが辛い人たちのことがいつも話題になってるんじゃなかったっけ?

最後にひとこと言うと、原作を書いた人と映画を作った人って、けっこう考え方とか生き方とかが違うんじゃないかな、虚無感からポジティブをひねり出すなんて無理だ。

最近新宿や渋谷を歩いてると、大きなカメラが回ってることがよくあるけど、私もこんな映画のどこか隅っこに映ってるんだろうか?