映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

チャールズ・チャップリン 監督「街の灯」1794本目

1931年の作品。
画面と音がシンクロしてるのに人の声は入らない。なくても成り立つ映画を作り続けたチャップリンの傑作です。
全体で83分だけど、盲目の少女とのエピソード、自殺未遂のエピソード、清掃員のエピソード、ボクシングのエピソード、強盗のエピソードなど、単体でも楽しめるものを組み合わせた感じで、もともとショートムービーというかボードヴィルの出身だなぁと感じます。
それぞれの面白さ、楽しさを一つの映画として構成してもやっぱり面白くてホロリとくる。いろんな試みがすごくうまく成功した作品でした。

可哀想なものを徹底的に可哀想に描くとのが、この頃の映画だったのかもしれない。
貧しくて清潔で純真で可愛らしい。そういう人たちに、当時の人たちは共感したんですね。

少女もいいし、酔っ払ってすぐ忘れる大金持ちも、ボクシングの相手も、みんないい動きをしますよね。
こういう芸のレベルって今より昔の方が撮り直しの猶予がなかっただろうし、舞台で観客と直接向き合ってた役者さんが多かっただろうし、この時代にタイムトラベルして当時の舞台の素晴らしさを生で体感できたらなぁと思います。

チャップリンっていう偉大な映画人のことが、これからもちゃんと語り継がれていくといいなと思います。