映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ハーバート・ロス 監督「愛と喝采の日々」1836本目

1977年の作品。
なんで借りたかというと、シャーリー・マクレーンかなぁ。「ハリーの災難」とか「アパートの鍵貸します」の可愛さと現在の姿の間に何があったのか知りたくて。

35を過ぎても踊り続けていることろ後悔し始めているエマ。演じるアン・バンクロフトは、「卒業」のミセス・ロビンソンであり、「奇跡の人」のサリバン先生でもある。
エミリアを演じるレスリー・ブラウンの美しいこと。ユーリを演じる・・・ああ、かの有名なミハイル・バリシニコフとはこの人だったんだ。すごい動きです。変な言い方だけどゴムでできた鋼みたいにやわらかくて堅い。バレエダンサーってほとんど知らないけど、妖精みたいなセルゲイ・ポルーニンと違って、どっちかというと顔は若い頃のロジャー・テイラー(クイーンのドラマーね)みたいで愛嬌があるし、頭が大きめで手足もそんなに長い方じゃないのに、どうやったらそんなに美しくなれるんでしょう。

ストーリーは、「ブラック・スワン」のブラックじゃない版という感じで、ドロドロの確執はあるんだけど乗り越えられた!という映画です。レスリー・ブラウンという美しいプリマドンナの情報を調べてたら、なんとこの映画は彼女自身の自伝を自分で演じたものだったんですね。この映画のときまだ20歳、現在は60歳です。ミハイル・バリシニコフは70歳だそうです。バレエダンサーってなんかすごいなぁ。宝塚みたいにゴテゴテに飾り立てて大賑わいで美を表現するのと違って、使えるものは自分の肉体だけ。声も言葉もない世界。

というわけでなかなか見所の多い作品だしちゃんとまとまってるんだけど、どこか古さとテレビっぽさがあって、名作っていう雰囲気ではないんだよな〜。こういう、当時のトレンディ感を伝える昔の映画って、私は好みですよ。