映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・アルトマン監督「ナッシュビル」1847本目

ナッシュビルはカントリー音楽の聖地。
出てくる歌手たちにはみんなモデルがいるような気がする。「ビルとメリーとトム」はピーター・ポール&マリーだとして、「ヘヴン・ハミルトン」はニール・ダイヤモンドに見える。グラマーなシンガーのコニー・ホワイトはドリー・パートン?清純派バーバラ・ジーンはオリビア・ニュートン・ジョン??(そろそろ知識が尽きた)

なんか、不思議な映画だな。群像劇。なぜかナッシュビルに留学か長期旅行をしてしまって、いろんな人に紹介されて自分の敵と味方の区別もできないままぐるぐると巻き込まれているような不思議な気持ち。
あまりにローカルな。

そして1975年っていう時代が、落ち着かないくらい濃いな。アフリカ系(当時は間違いなく、単に黒人と呼ばれていた)の人たちはまだ誰もストレートパーマをかけたりしてなくて、みんなアフロヘアだ。誰も彼も大きな襟のシャツ、太いネクタイ、
あ!やせて背の高い、モデルみたいな女の子は「シャイニング」のシェリー・デュヴァルだ!

登場人物が多くて、人間関係とかそれぞれの人となり、立場とかを把握するのに2回見ないとダメでした。
2回めは、結末を知ってることもあって、急に面白くなってきた。それぞれの性格が立ってるんだな。だから普通のローカルな人たちだと思える。で、最初は不思議な外国人を見てるような気持ちだったのに、それぞれの変な部分、可愛さ、といった個性がなぜか身近に思えてくる。あの人もこの人も、とりあえずまあまあ幸せになってくれるといいなーと思う。(ならないんだけどさ)

やっぱりすごく変な映画だなぁ。最後に突然舞台で歌い出す、くりくり頭で水着みたいな短いワンピースの「アルバカーキ」。(この人を食ったような名前。)今までみんな教科書みたいな歌を歌ってたのに、「何も気にしない」歌を気だるく、気持ち良さそうに歌う。自由じゃない人たちはみんな舞台を降りて、気楽な観客と、一番目立たなかった歌い手だけが残る。・・・これって強烈な皮肉なんだろうなぁ。

・・・ナッシュビルって行ってみたいな。観光地としては、日本からはそれほど人気なさそうだけど。

ナッシュビル (字幕版)

ナッシュビル (字幕版)