役所広司が画面にいると、安心するような嬉しいような気持ちになる。
きっと面白い映画だから、きっと悪い映画じゃないから。(ただ、無意識のうちに、悪いようで善意の人なんじゃないかと期待している)
そして、福山雅治が彼の弁護人。相変わらず爽やかだけど、ベテラン弁護士の貫禄も出てきたなぁ。老けたと言ってもいいんだけど、この貫禄は役者としてとてもいいと思います。
広瀬すずは、若いのにほんとに情緒が豊かで、いつ見ても素晴らしいですね。
しかし・・・捉えどころのわからない映画だな。
「藪の中」みたいだ。煙にまかれたような。これをそのまま「謎めいてる」とか「人間の二面性を描いて」とかカッコいい感想なんか書かないぞ。是枝監督、どこに向かってるんだろう。
ドキュメンタリー映画やドキュメンタリーふう映画にも恣意性はある。監督はそれをいかに排除するかを探求してる方だと思ってた。で、多分、裁判にもシナリオがあって演出もある。裁判は映画だ、ノンフィクションふうのフィクションだ、と暴きたかったのかな。騙されてあっちこっち右往左往しながら、自分なりに咀嚼して飲み込もうとする観客は、この映画の福山雅治弁護士だ。と言いたかったのかな。
監督が大監督とか名監督になっていくとき、彼の視点はだんだん高くなっていく。人間を俯瞰して見られるようになるのはすごい事だけど、神の視点に立ったつもりにはなってほしくないな〜。
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