映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デヴィッド・リーチ 監督「アトミック・ブロンド」1886本目

行きのキャセイパシフィック機内で見た、3本目。
一言でいうと、ゴーストバスターズハングオーバー!を女性版でリメイクしたのと同様、ジェームズ・ボンドを女性でやってみた映画。シャーリーズ・セロンの幅の広さは本当に素晴らしくて、美しくも強くもあり、地味で弱々しい存在感も演じ分けられる力のある女優さんだなぁと感心しました。

アクションもすごいよ。ただ、日本のヒーロードラマみたいに、やられる方の受け身がうまいな、というような余計なところに時々気がいってしまう余地は、さらに無くしていってほしいなと思います。つまり圧倒的な強さまでは感じない。屈強でなくても、ダニエル・クレイグのような身のこなしがあれば圧倒される。そういう意味で、シャーリーズ・セロンは頑張っちゃってる感じがしたのでした。

東西スパイ映画にありがちな、どんでん返しの繰り返しも、面白いけど「はいー1回、2回、」と数えてしまうくらい私はもう大人になってしまっているので、見所はそこじゃないのです。女性スパイに対して女性が迫ってきて恋に落ちるという現代的な流れも、素敵だけどそれだけでは物足りない。この映画は、女性ジェームズ・ボンドも十分に成立すると証明する、という偉業をなしとげたけど、この次に何が来るか?にもっと期待したいです。