映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピーター・ウィアー監督「刑事ジョン・ブック 目撃者」2057本目

監督は「トゥルーマン・ショー」や「いまを生きる」のピーター・ウィアーだ。音楽はモーリス・ジャール。アクション映画に彼の壮大な音楽はミスマッチな気もするけど、この映画はアーミッシュが舞台だからちょっと特別な宗教的な荘厳さを狙ったのかしら。あどけないサミュエル君を演じたルーカス・ハースは、こういう風に成長したら理想!という感じのイケメン俳優になっていてもう42歳。34年も前の作品ですもんね。そして、何にでも出てたヴィゴ・モーテンセン、指輪前はヤクザ役ばかりかと思ったら、気のいいアーミッシュ青年にもなってたのね。

アーミッシュって、噂には聞くけど実態を何も知らない不思議なアメリカの人たちで、興味津々。「普通わかるだろ!」というトリックやストーリーがバレないことを自然に見せるため、未知の文化や時代を設定するのはミステリーではよくあることです。冒頭の彼らの姿を見て、ユダヤ原理主義の人たちかと思った・・・本人たちにして見れば「全然違う!」んでしょうね。失礼しました。

アーミッシュのことを知りたい一方で、貶めてほしくないなーという気持ちも強い。バブル全盛期に、対照的に清廉な彼らの生活は注目されたのかもしれませんが、今は逆にアーミッシュの清貧な生活をしたいと思ってる意識高いアメリカ人とかもいるんじゃないかな。といってもこの映画ではそれほど詳しくアーミッシュの生活は描かれてませんね。

この映画、むかーしテレビで見た気もしてたんだけど、結末を勝手に<以下、ネタバレなし>賢いサミュエル君がジョンの銃を巧みに組み立てて追っ手を撃って大団円、と期待したら違ってたので、多分見てなかったんだと思います(笑)。