映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

吉田恵輔監督「さんかく」2060本目

 2010年の作品。怖い映画だったわ〜

こうならないといいな、こうはなりたくないな、というのがどんどんエスカレートしてくと、最後こうなります、っていう映画。

小野恵令奈(この時まだ16くらい)って元AKBらしいのですが、ハラハラするくらいの幼いファム・ファタールぶり。この子一生男に不自由しないだろうけど、そのうち刺されて死ぬぞ、くらいな感じ。自信を持ちたくて、好きでもない男たちの気を引いて見る。どこ行っても人間関係を壊しそうな・・・。学年に1人くらいいた、可愛くて女子からは確実に嫌われるタイプの子です。

高岡蒼甫演じる百瀬は、簡単に誘惑される受け身な性格で、可愛い子に「こいつ、もしかして俺に気がある?」と思ったら、失恋確定するまでは追っかける。でも、留守電入れ続けるのしつこすぎてストーカーと化していきます。ここで10人中1人くらいまで絞られます。一番いそうなのは田畑智子演じる佳代で、女性なら誰でも起こす細かいヒステリー、真面目な分振られるとダメージ大きい・・・なんて思ってたらその後のエスカレートぶりがひどくて、これは友達いないな・・・。警察来ちゃうよね・・・。それにしても、なんともヒリヒリくる映画です。

最初に、気のない先輩を追って上京してきたのが桃で、それを追っかけてるのが百瀬で、それを追っかけてるのが佳代、という、辺と辺が結ばれることのない「さんかく」。 最後に百瀬は何を言おうとしていたのか。ちょっと難しい国語の問題みたいですね。

よくできた脚本、ぴったりすぎるキャスティング。地味だけどよくできた映画でした。この監督の作品、もっと見てみなきゃ。

さんかく 特別版(2枚組) [DVD]

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