1962年の作品。市川雷蔵主演の、忍者映画ブームの先駆けとなった作品だそうです。
歌舞伎とかにありそうな、悪い親方と若い奥方、若くて有望な間男、お家や身分の関係、と行ったテーマなのですが、市川雷蔵がいつもだけど今度も素敵で、とても楽しめる作品でした。
これ、子ども時代に見たら憧れただろうなぁ。ドキドキする要素が散りばめられているし、雷蔵の不思議な魅力。若々しい明るさ、強くてお茶目な目元と、それに反する妙に苦い口元の表情。彼のどこかにある”暗さ”は、子どもたちから見れば「謎」とか「大人の世界」のように見えるんだろうな。それは「忍者」という言葉そのものに潜む、秘密や伝統のロマンにぴったり合います。
白黒映画だからこそ、神秘性がさらに高まってるかもしれません。
市川雷蔵は、1969年にわずか37歳で亡くなるまでに159本の映画に出演したそうです。若い頃しか私たちに見せてくれなかった彼の姿を、この時代の映画で浴びるほど見ていた1960年代の少年少女が、うらやましい気がしてくるな・・・。