映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

トビー・キラー監督「ナイトピープル(Pretty as a Picture: The Art of David Lynch)」2217本目(KINENOTE未掲載)

なぜかいろんなデータベースから抜け落ちてるけど、まともなドキュメンタリーです。制作年は1998年。今から20年も前だ。ロスト・ハイウェイの直後、インランド・エンパイアマルホランド・ドライブよりは前。「イレイサーヘッド」のジャック・ナンスらと撮影に使った場所を再訪するエピソードがあったり、「エレファントマン」の監督に彼を採用したというメル・ブルックス(!)のインタビューもあったり、いつも音楽をやっているアンジェロ・パダラメンティがピアノを弾いて歌っていたり・・・なかなか生々しく映画の現場が伝わってくる貴重な作品です。目に見えないけど世界のどこかで起こっていることのようでどこか本当に怖くて、

ほんと、リンチ監督ってやさしくて誰からも評判がいいんだけど、やっぱり本物の変態というか変質者というか狂ってるよね・・・。だからいいんだけど。彼の作品は、映画も美術作品も、目に見えないけど世界のどこかで起こっていることのようで、どこか本当にゾッとする怖さなのに、目が離せなくて。怖いからこそ、そこにまだ見てない作品があるなら見なきゃと思ってしまう。なんなんでしょうね。

見れば見るほど、彼の作品は全部つながってる。最近はSF映画で(「メッセージ」とか)時間は絶対的ではないというコンセプトのものが増えてきてるけど、彼の映像世界はもともとそうだ。ツイン・ピークスのシーズン3を見終わって、シーズン4を作るのは故人が多すぎてもう無理だなと思った。でも見たいな。何か見たい。違うものでもなんでもいいから作ってみてほしいです。

ナイト・ピープル [DVD]

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