映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・アルドリッチ監督「北国の帝王」2289本目

北国にしては、ちっとも寒くなさそう。Northと言ってもWestが西部と言うのと同様に、舞台となっているオレゴン州は北部アメリカなので、「北部アメリカの皇帝」でしょうか。(それじゃ座りが悪いので「北国の帝王」って邦題にする気持ちもわかる)

それにしても、私にはついていけない世界だなぁ・・・。冷酷な車掌って、メキシコとアメリカを隔てる壁で、入ってくる人たちを片っ端から嬉しそうに撃ち殺す軍人と同じだもんね。古くはベルリンの壁とか。あまりに楽しそうにイタチごっこをしてるので、アメリカの子どもが好きな、緑色のモンスターを虐殺するビデオゲームみたいなものかとも思う。なんで切符買わないんだろう。権力的なものを見ると楯突きたくなるのかな。

というわけで、楽しいゲームだと思い直して見てみます。男の世界というより、小学生くらいの男の子の感覚じゃないかな?いや、西部劇ならこの設定はよくある。強いものとそれに挑戦するもの、として、どちらも好ましいとされる。この冷酷な車掌も仕事をやってるだけだ。

色々あって結末は、「坊やは無賃乗車なんかしないで、大人しく田舎に引っ込んでな」。なぜなら無賃乗車は命がけの仕事で、帝王が助けなかったら彼は死んでたから。

・・・だったら、お前は無賃乗車してないでちゃんと払って乗るとか労働するから乗せろと交渉するとか、死なない方法を考えたらどうだ?

という気持ちでいっぱいな私でした。。

北国の帝王 [DVD]

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