映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スパイク・リー監督「ブラック・クランズマン」2325本目

レジェンド、スパイク・リーが監督!プロデューサーは「ゲット・アウト」「アス」を監督したジョーダン・ピールだ。潜入捜査官はアダム・ドライバー。タイトルの「クランズマン」の「クラン」=「Ku Klux Klan」。かなり期待して見たんだけど、いろんな意味で期待とは違う部分が多かった。

最近のハリウッドの映画は、かなり緻密なのが普通なので、史実がどうあれ「電話番号から住所を調べたら黒人(というか本人)が出てきた」っていう設定はないんじゃないかな~、第一、最初に電話をかけてコールバックしてもらったのは警察署の中だったよね?そもそも、わざわざ黒人が電話をかけて別の白人が潜入するなんて、面倒をやる必要は・・・などなど、“団体”に乗り込むにしては脇がスカスカだし設定も甘く感じてしまった。

でも、なんだろう、この独特の画面の味わい、人と人とのかかわり方の描き方が、私が今までに見た黒人監督の映画に通じるものがある。じわっと味があるんだ。セリフを大事にするんだよね。誰が誰に何を言ったか、が大事。

何度も流れるテーマ曲の切ない、ある意味“昭和”っぽい感じも意外だった。

それにしても、白装束は異様で怖いし、レジェンド中のレジェンド、ハリー・べラフォンテ(だってオットー・プレミンジャーの「カルメン」にも出てたんだよ)の語る歴史のおぞましさ。この場面は映画の筋のうえで必要ではないけど、監督がどうしてもこのことに触れずにいられなかったんだと思う。

関係ないけど、“団体”のマークが線だけで描くと「丸に十の字」でちょっとショック。私の名前は島津ではないし血縁もないけど、うちの家紋はこれなのだ。海外で、特に黒人の人たちの前でこれを見ても、「これうちの家紋と同じ!」ってはしゃいだりしないように自分を戒めておこう。