映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

塩田明彦監督「さよならくちびる」2336本目

日経新聞をほんの短期間読んでたことがあるんだけど、「私の履歴書」のほかに、あの新聞の映画欄はとっても好きだった。あの欄の紹介を見て、岩波ホールに「五月のミル」とか見に行ったりした。今はネットで見てたんだけど、ここ数か月更新がないということはとうとう連載が終わったのか?

その映画欄で久々の最高得点「★★★★★」をつけたのがこの作品。音楽映画は、たとえば「ダブリンの街角で」とか好きなので楽しみに見たんだけど、雰囲気を超える音楽愛を見出すことができなかったのは残念。

ハル=門脇麦(なんかChiakiに似てきたね)、レオ=小松奈々、シマ=成田凌はそれぞれ魅力があるけど、普段音楽を聴かない人たちが思うほど、音楽やってる人には見えない。チャットモンチーとかだって、普段は目立たない普通の女の子だったはずだけど、ステージに立つとオーラがすごいよね。そういう、音楽に魅入られて呪われて祝福されたような運命性がないまま終わった。追い込んで何かを絞り出させるような演出をする監督っているけど、音楽に関しても、追い込んで音楽性を引き出すことはできたんだろうか、やっぱり無理だったんだろうか。

でもラストは良かったよ。ふてくされた女子どもの、意外とおおらかな未来。もっと笑えばいい。もっと大きな口を開けて歌えばいいのだ。

さよならくちびる

さよならくちびる

  • 発売日: 2019/10/11
  • メディア: Prime Video