パワフルで引き締まった女性のリズミカルな動き。タイトルの文字の色使い、強いビート…しょっぱなから、ハリウッド的なアメリカ映画と、まるで違います。今のブルックリンはアートっぽくて、なんとなくナチュラルでオーガニックなカフェとかがたくさんある観光地のイメージだけど(私だけかな)、この頃は、よそ者が目立つ、住人たちの街だ。
巨大なカセットラジカセ、彼らのはデコトラみたいに派手だ。対立してるのはメキシコ系かな。黒人あるいはBlackと呼ばれる人たちはみんなアフリカ系なんだろうか。欧米系や中南米の先住民との混血もたくさんいるだろうけど、肌の色で決まるんだろうか。肌の色だけなら中南米系の人たちも黒いけど、どこで区別してるんだろう。こんな線引きが難しいあいまいな生物学的特徴で人を差別できるなんて、無理やりだな。などと、改めていろんなことを思う。
しかし働かない人たちだな…。仕事って喜びじゃないのかな。がむしゃらに働いて子どもをいい大学に入れて弁護士や医師やエンジニアにして、下町を抜け出す、というユダヤ人やアジア人にありがちなルートには興味がないんだろうか。
DJの「LOVE/HATE」ナックルは、「恐怖の岬」のロバート・ミッチャムだ。ちょっと不穏なサイン。悪い予感は本当になってしまう。
描き方としては、白人だからというだけで店をつぶされるサルには同情的だし、警官たちも特に悪い奴らとして登場したわけじゃなかった。それでも理不尽に黒人の若者が犠牲になる。「権力と戦う」と歌う彼らが破壊したのは何の権力も持たないサルの店だ。彼らの不満は爆発してとどまるところがない。これは黒人差別を糾弾する映画なのか?違うよね?一番正しいことを言っているのはメイヤーだよね。「Do the right thing」って。憎しみは何も生まない、って。この映画には、本当に悪い人は一人も出てこなかった。スパイク・リーって公の発言だけ見るとすごく先鋭的な権利活動家みたいだけど、この映画はとてもとても穏健派だった。やっぱり作品を見てみないと、人ってわからないわ…。
「不動産屋になる」「黒人街のトランプ氏になるのか?」ってやりとりがあった。不動産王歴長いな、トランプ…。