映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジェームズ・グレイ監督「アド・アストラ」2352本目

(一部ネタバレあり)

マレーシア航空の機内で鑑賞。あんまり新しい映画なかったなぁ…。

この映画は、ひとことで言うと、宇宙を舞台とした父と子の人間ドラマでした。ブラピにはやっぱりSFより地に足の着いたひとの情けの世界が合うのだ。

宇宙で人が実は生きていた!?というテーマは怖くて新しい(今は、まだ)。今このテーマを、ジャングルや氷雪地帯といった地球上の秘境を舞台にして作っても、まるでもう新鮮味がありません。だから宇宙にするしかなかったんじゃないかなぁ。

マッドサイエンティストと化していた父は、才能ある科学者だけど心に闇を持ってしまった。父と子は協力しあえるのか、それとも破壊しあうしかないのか。

深読みしてしまうと、この映画そのものがブラピの叫びのように思えます。製作者のなかに問答無用のポジティブさがあれば、この映画にはならない。厳しい時にあっても心拍数の上がらない安定した彼が爆発させたい苦しさや葛藤がこもっている、と感じてその部分にはちょっとしんみりしました。

アド・アストラ (字幕版)

アド・アストラ (字幕版)

  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: Prime Video