映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リン・ラムジー 監督「ビューティフル・デイ」2353本目

ホアキン・フェニックスが、認知症の母と同居する、とても怪しい男を演じています。「ジョーカー」の彼の役と重なりますね。トッド・フィリップス監督あるいは別の製作者がこの映画にヒントを得た可能性が高い?

とても芸術性の高い美しい映像でした、特に水に入っていく場面。でも解説を読んでから見ても、よく意味はわからなかった。わかった人います??

だいいち「PTSDの元軍人」が「行方不明の少女たちを奪還する」と説明があるけど、読まずに見たら「ちょっとサイコな殺し屋」が「依頼を受けた現場で殺戮を行うとそこに少女がいることが多い」くらいにしか見えない。「ジョーカー」の印象が強すぎたせいもあるだろうけど、ここまで誤解を容認する、あるいは映画の外で文章による説明を要する作品って、監督はどういうつもりで作ってるんだろう。多分、観客が好きなように受け取ればいいと思ってるんだろうな。

画面に広がる血のりのほとんどは、彼の妄想あるいは幻視であったと。いままでにも様々な少女たちを救ってきたけど、そんな彼に「ジョー、起きて。行くわよ」と声をかけてきたのは、この謎のロシア系の少女だけだった。彼は少女とともにどこに向かうのか。…というのが、いちおうの正解なのかな。

この監督のほかの作品は、もう少しわかりやすいんだろうか。タルコフスキーとか目指してるのかな。それにしてはもうちょっと深遠さが足りない。また見たいかというと、微妙かも…。

ビューティフル・デイ(字幕版)

ビューティフル・デイ(字幕版)

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: Prime Video