映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

川島雄三監督「お嬢さん社長」2358本目

「幕末太陽伝」や「わが町」の川島雄三監督の作品ということで借りてみましたが、美空ひばりの主演作ですね。16歳のお嬢さんという設定。歌っても立派だけど、若社長と言われれば納得してしまう、この押し出しの強さ。重量感。秘書の月岡夢路が賢くやさしくてステキ。

帳簿がぜんぶ手書きなんだよね…。横丁の人に検証させるなんてのも、いいんじゃないでしょうか、古き良き時代…。歌は「趣味」程度にとどめて、「社長シリーズ」のようにお嬢さん社長は八面六臂の大活躍。華のあるお嬢さん社長としては、自分が広告塔になるのが一番安上がりだし効果的なのは確かです。といっても、自社が提供している番組に出演して歌うとは、まるでAPAホテル(いやそこまでやってないAPAの社長は)。砂糖の高騰で売れば売るほど赤字、なんて状況を放置する会社はないと思うけど、この頃は沖縄はアメリカだったからサトウキビの産地が今より少なかったんだな。

ストーリーはありきたりではあるけど、下町の長屋にもお偉方にも同じように素直に接するお嬢さんの善意がほほえましく、人情あふれる暖かい作品になっています。美空ひばりは、本当にみんなの太陽だったんだな…(AIひばりってテレビに出てたけどなんか別人だった) 

お嬢さん社長 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • 発売日: 2007/05/25
  • メディア: DVD