映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・ルノワール監督「ゲームの規則」2368本目

ジャン・ルノワールの作品って「大いなる幻影」しか見たことない、それも7年前。名画のルノワールの息子って知らなかった。「幻影」はなぜかエリッヒ・フォン・シュトロハイムが出てたことしか覚えてない…。

この映画は、登場人物が多くて人間関係が複雑なわりに、わかりにくくはないですね。ドタバタで喜劇的だけど、公然の浮気にしろ密漁にしろ、みんなモラルが低くて人生に倦怠してる。監督自身が演じるオクターヴという男は、愛嬌があって人柄がよくて、自分のいろいろなことに失望してる。この男の存在が映画の中で鍵となってるなんですよね、見終わってみると。何物でもないお人よしのオクターヴが人妻と航空家を引き合わせ、女中と使用人の仲たがいに関わり、良かれと思って人の情緒をあおってカタストロフィをもたらす。人間の感情にはいつか突破口が必要になる、というか、どこかで爆発するもんだけど、出口を作りがちな人っているんだよね。

富豪の夫(マルセル・ダリオ)の、筆でまっすぐ描いたような眉が印象的だった…。

ゲームの規則(字幕版)

ゲームの規則(字幕版)

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