面白かったなー。
乙羽信子がまだ若くて、ホッペもプリプリなんだけど、腹の据わった一人前の芸者役が板についています。さすが宝塚、身のこなしも声の出方も基礎がしっかりしてる。
こんなに優れたエンターテイナーが男たちの“なぐさみもの”として転々とするしかない世の中なんて、価値観がおかしくなってるとしか思えないけど、これが当たり前の時代だったんだ。外交問題をこんなところに持ち出すのはおかしいかもしれないけど、従軍慰安婦問題とかが今も“日本全国共通の、誰が見てもアウト”というところに落とし込めてないのは、日本の女性たちの多くが、黙ることで生き延びてきたから、後に続く世代のために戦ってこなかったから、って部分はあると思います。「#MeToo」問題が一世を風靡しないで下火になってしまったのも。鶏が先か、卵が先か。みんな自分が今いる場所を失うのは怖いから。
新藤兼人ってずっとこういう映画を撮ってたけど、自分自身の本妻と愛人の問題は、これとは別だと思ってたんだろうか。その辺がやっぱりズレてる気がするんだけど…と、嬉々として演じている乙羽信子を見ると不思議に思ってしまうのです。