映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アレクサンドル・コット 監督「草原の実験」2371本目

舞台はカザフスタンらしい。主役の女の子の容貌は、北欧とアジアとアラブが長年混血してきたふうの、涼やかな美しさです。この子を見てるだけでもいいな、この映画は。

監督はタルコフスキーとパラジャーノフを敬愛しているのに違いない。静かで美しい風景と、鮮やかな色彩と、沈黙。「ひろしま」も見てるかもしれない。膨大な数のふつうの人たちが破壊されたのを見てショックを受けたかも。だけど、カザフスタンの何もない砂漠で実験をしたつもりでも、実は美しい少女が破壊されていた、それが一人なら良いなんて誰に言えるんだ?と問いかけたかったのかな、と思いました。

メッセージに意外性や目が覚めるような学びがあるわけじゃなく、手法も新規なものはないけど、集めてきたものは確かに美しくて、きれいな絵本みたいな世界でした。

草原の実験(字幕版)

草原の実験(字幕版)

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