映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

川島雄三監督「女は二度生まれる」2382本目

面白いなぁ、川島監督の映画は。

若尾文子演じる芸者は、純真なのか悪いのかよくわからない女です。泥棒の家に生まれて泥棒になってしまった子供みたいに、芸者の家に入れてもらって芸者になったという。

こんなふうに「女は二度生まれる」のか。令和2年の日本としてはPolitically incorrectだけど、この時代にはある種の美談として語られる。女のほうも一人の男性に尽くして芸の道に精進する。…貞操観念ってのは、一夫多妻制ならこれでも問題ないんだろうな。など、頭がちょっと混乱してきます。

フリー恋愛の芸者→しょっぱい(彼女談)一級建築士の二号さん→おとうさん死亡、芸者に戻る→いまさらフリー恋愛できない→昔知ってた男たちを眺めながら、新宿からなんとなく夜行バスで松本、少年を上高地へ見送って、イマココ

そこで手持無沙汰になっているところで唐突に「終」。二度生まれさせておいてどうする気だ、おとうさん!…ってところでしょうか。

キレイで愛想がいいので、松本の蕎麦屋の店員とか旅館の仲居とか、飛び込みで就職する手もあると思うのですが、この時代の価値観はちょっと想像するのが難しいので、私から彼女にアドバイスするのはやめておきます。

しかし川島雄三の映画は、どれも面白いな。この監督がいま同じタイトルで映画を撮っても、それはそれで面白いものができそうな気がします。舞台や設定と配役を想像するだけで面白い…。

 

女は二度生まれる

女は二度生まれる

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