映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ボー・バーナム監督「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」2386本目

もう、痛くて痛くて大変。数十年前の自分を見ているようで。でも、この子はもっと素直で優しいので、痛いのはもっと小難しくてわだかまってた面倒くさい昔の私のほうだな…。こんなに可愛い子でも、ちょうどこのくらいの年齢、はじける前のわだかまり世代には、内弁慶で外ではシャイで、思ったことをなかなか言えない時期があるんですよね。

このイタさをこんなにリアルに描けるなんて、監督は14歳の少女か。せめて性別は女性だろうと思ったら、若い男性なんですね。YouTubeの映像をちょっと見たけど、すごく面白い、才能あるコメディアンという感じです。そういう人がこういうセンシティブでハートウォーミングな映画を撮るのも意外だけど、ここまでリアルに撮れるなんて奇跡的。

ケイラちゃんはちょっと幼児体形だけど素直で可愛いので、男の子たちがちょいちょい寄ってきます。でもやっぱり、感じの悪い美人のパーティで会ったイトコ君が一番ぴったりだね。なかなかオタクっぽくて変わってるけどとてもいい子で。

高校生のオリヴィアとの出会いが良かったですね。あんなにイケてて素敵なお姉さんに可愛い可愛いって言ってもらえて、少しずつ自分に自信がついて、表情が晴れやかになっていくのが、またリアル。

ケイラちゃんは間違いなく、高校でデビューするタイプだな。チャラチャラしてない分、どんどん才能を伸ばして、社会に出たらバリバリ働くかもしれない。

ここまで登場人物に親近感を持たせられる監督って、なかなかいません。すごい新人だなぁと思いました!