<ネタバレあり>
1951年という大昔の作品だけど、冒頭のニューヨークの摩天楼を高い位置から写した映像がじつに美しい。都会って生き生きしていて明るいのね、と思ってしまいます。
しかし地上では車をほかの車にぶつけて強引に駐車する、太った柄の悪い男と細い女。ここは警察署のようです。万引き、横領、違法堕胎…さまざまな罪を犯した人々が連れてこられて、取調室に留め置かれています。
主役のこわもて刑事(探偵じゃなくて刑事物語なんだな)はカーク・ダグラス。なんと先週、103歳でお亡くなりになったのですね!この人年をとってからも全然変わらないからいつの映画かと思ってしまったけど、このときまだ35歳。よく見ると若い。彼はゴリ押しで暴力も辞さないので同僚に忠告を受けます。
「Jim, why must you make everything so black & white? Don't be so intolerent.」
一方彼の妻には隠していた過去がありました。刑事は妻の過去を赦せるのか?というのがこの映画です。
赦すという言葉ほど、今の世の中に欠けていて、思い出したいものはないな、と思います。ネットを見るといつも、誰かが誰かを糾弾してる。当人に関係ないことでも、我が意を得たりと、誰かに乗っかって激しく攻撃する、安全な場所から。
妻は彼の攻撃にひたすら耐えてその後の一生を送る、わけではなく、自分からスカッと荷物をまとめて出ていきます。彼の執拗さに気づき、彼が変われないこともしっかり予想できたから。
最後は「天罰」かと思うような事件でカーク刑事は殉職してしまいます。すごくキリスト教的な、因果応報の映画なのでした。