やっぱりアルモドバル監督の作品は面白いなぁ。
必ず「えっ」というようなヒネリが入るんですよね。何本見ても予想できず、毎回驚かされる。そして必ず、とても大きな愛に包まれる。ラテン的な愛憎が新鮮。普通の日本人の私は、いつも誰かの愛情をちょっぴり信じられず、しっかり憎み切れないけど、彼らはちゃんと憎むから激しく愛せるのかもなぁ。
往年の人気歌手の母(マリサ・パレデス、「オールアバウトマイマザー」の大女優ね)は、自分の恋人と娘(ビクトリア・アブリル)が結婚したことで娘を憎むようになる。
この監督の映画では男は常に何かやらかして殺されて、母と娘は愛を確認する。
いつも道徳とか常識は、愛に比べれば二の次で、罪もしばしばスルーされる。それなのに見ているほうはなんとなく納得してしまうのが、監督のストーリーテラーとしての技の見せ所なのかもしれません。
ちなみにタイトルの「ハイヒール」は最後の最後に娘が、半地下の病室の窓を母のために開けてやりながら、「小さいころ、母のハイヒールを部屋からこんなふうに見るのが好きだった」と話す、という形でやっと登場します。それにしてもアルモドバル監督の映画に出てくる女性は全員(オカマも)すごいピンヒールをはいてるよな…。