映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ニキータ・ミハルコフ監督「太陽に灼かれて」2419本目

この監督の映画を見るのは初めて。

前半は無邪気な家庭のひとときが続きますが、人間関係や何をしているのかがわからなくて、取り残されたような感じでついていけませんでした。あらすじを読んでようやく、そこは突っ込まずにどんどん進んでディミトリの登場を待てばいいと理解。しかしセルゲイ・ペトロヴィッチ・コトフ大佐とディミトリが恋敵って、年齢違いすぎませんか?そもそもコトフ(ミハルコフ監督)とマルーシャは夫婦というより親子に見えるし。でも実態として、祖父と孫に見えるちっちゃいナージャと監督が親子という事実がある。計算してみたら、監督41歳のときの娘らしく、そう考えるとそれほどおかしくはなく、この映画が制作された1994年は実はまだ49歳です。今の写真を見てもこのときと全然変わらないというか、今がやっと年齢相応なんですね…。

かわゆいナージャと、ガスマスクを付けた家族が弾きまくるピアノ、踊り狂う家族。なんか嫌な予感がしますよね。。。

ディミトリとマルーシャの再会、ディミトリとコトフ大佐との会話、と事態は緊迫感を増していきますが、ひたすら無邪気なナージャが戦地を駆け回る子供みたいで胸が痛くなります。

若くて端正なディミトリが老いた英雄コトフを弾劾する。人のうわさ(しばしば、やっかみや恨みそねみ、誹謗中傷)によって人を裁いていると政治が確実に腐敗すると思うんだけど、どうして人は自分たちの中のネガティブな感情に支配されてしまうんだろう。

(以下とつぜんですがネタバレ)

コトフはボコボコに殴られているけど瀕死とは言えない状態。でも字幕には死亡と出る。一方ディミトリは浴槽で手首を切って死にそうだけど字幕には出ない。続編があってみんな出てるみたいだけど、これをどう調整したのか…それだけでもちょっと見てみたくなりました。