映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウディ・アレン監督「アニー・ホール」2428本目

ウディ・アレン自身がウディ・アレンを演じる映画を見るのは久しぶり。最近はケイト・ブランシェットやらホアキン・フェニックスやらがウディアレンの化身となって主役を務める映画が多いから、リメイク前のオリジナルを見てるような不思議な感じ。

というのも、この映画は前にも見たけどどうしてもまた見たくなって借りてしまった。ダイアン・キートンのマニッシュなファッションが素敵だったのが忘れられなくて。

改めて見てみると、アニー・ホールは変なところが神経質だけどごくおおざっぱな女性で(運転とか)、のんびりとした温かい微笑みとカチッとしたネクタイにベストがミスマッチだから、彼女のやわらかさが際立つんだな、きっと。歌声もやわらかくて優しい。こんな女性になりたかったなぁ。

「ミスター・グッドバーを探して」のときの彼女のゆるい感じも好きだったけど、あれってミステリーというか恐怖ドラマですよね、ゆるいとこんな目に合うんだぞ、みたいな。…ほかの映画まで引っ張ってきてダイアン・キートンの魅力を語るのはこのくらいにして。

最初に見たときは、ダイアン・キートンが素敵な一方、いったいなんでアルヴィンのような男とつきあうんだ、と不思議に思った…けど思い返してみたら私だって友達に「なんであいつと」と言われるような(以下略)

「およそ非理性的で不合理なことばかり」なのが若いころの男女関係なんでしょうね。とてもとても普遍的なんですよ、この映画は。ウディ・アレンが再会したダイアン・キートンを「やっぱり素晴らしい」と感じたその瞬間が、彼の人生のひとつのピーク、永遠の瞬間だった、という映画なんだと思います。