映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ソウル・バス監督「フェイズIV 戦慄!昆虫パニック」2430本目

ヒッチコックというよりオットー・プレミンジャーのタイトルバックのしびれるようなカッコよさが大変印象的だったソウル・バスというかソール・バス。

しかしこの映画のタイトルバックは、解像度の低い宇宙の静止画像にただ近づいていくだけの何もない映像で、特徴的なタイポグラフィは出ないまま本編が始まります。続くのは蟻を至近距離から撮影したさまざまな映像。子どもの教育用の科学映像だと思えばよく撮れてると思うけど、ものすごく没個性で特徴のうすい「シンプルに撮影しただけ」の映像。この人もしかして、ただの昆虫好き?長年の夢をこの映画にぶちこんだ?

蟻モノリス(シロアリタワーみたいな柱が平原に何本も建ってる)とか和同開珎(草地を「円に四角」の形で刈ってある)も、何か美的なのかというとそうでもないように思えます。「みんなのたあ坊」みたいにみんな同じ方向を向いてぽかんと口を開ける、蟻モノリスたち。

主役の若い男性研究員と、紛れ込んでくる女の子がとても美形なところが、美的な仕事をしてきた人のセレクションだという気はするけど、いわゆる低予算映画かなぁ、という趣。日本で「フェイズIV 戦慄!昆虫パニック」なんていうB級感たっぷりな邦題をつけられたと知ったら、ソール・バスさんショックなんじゃないだろうか。

でもやっぱり、まぎれもなくB級映画でした。。。。