映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

キース・フルトン監督「ロスト・イン・ラ・マンチャ」2443本目

ああ、辛い…切ない…

テリー・ギリアム大好きなんですよ。監督としてもアニメーターとしても、「スペイン宗教裁判」の演者としても。彼のコリコリに凝った映像を愛する者として、素晴らしいドン・キホーテ(ジョン・ロシュフォール)、かわいいサンチョ・パンザ(誰だろう、イタリア語の小太りさん)、ジョニー・デップにヴァネッサ・パラディの映像が見られなかったことが痛くて痛くて…。「ホドロフスキーのDUNE」は、はなからミック・ジャガーとかキャスティングしてて構想のめちゃくちゃ感が強いし、あれは企画だけで撮影に入ることはなかったので、これほど心は痛みません。

役者たちの入りが少しずつ遅れたのはともかく。ロケハンをやったのは誰だ、これほど爆音の軍用機がしょっちゅう飛び交い、雨が降ればすべて流されてしまうような土地を選んだのは。(人を責めるのはやめとけ、私)

これとはまるで違う構想の映画になっているようですが、今年ギリアム監督の「ドン・キホーテ」が公開されたという事実だけで泣けます。1998年に撮影を始めて、苦節20年+。その間に、「未来世紀ブラジル」のジョナサン・プライスがドン・キホーテにふさわしい年齢になってしまいました。(これは、良かった)。ほかに、アダム・ドライバーもオルガ・キュリレンコもステラン・ステルスガルドも、ギリアム監督が選びそうというより、嬉々としてギリアム監督の映画に出そうな面々だなぁと思います。ペドロ・アルモドバル映画の常連、ロッシ・デ・パルマまで出てます。これは美味しい。

映画制作、特にお金の算段をしているプロデューサーには胃が痛くて見られないドキュメンタリーなんじゃないですかね…。

なんか…コロナウィルスの猛威で今年の旅行がすでに3つキャンセルになって、ついてないよ~と思ってた私なんて、全然なんでもないと思えました。映画監督って、とてつもなく心臓が強くないと続けられませんね。

 さあ!満を持して「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」を見るぞ!(※今ちょうど最初の公開が終わって、まだ名画座でもDVDでも見られない時期だ)