映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルム・パッタライ監督「ゲンボとタシの夢見るブータン」 2468本目

Amazonプライムビデオ、ありがたいなぁ。ソフト化されてないこういう作品でも見ることができて。劇場公開したとき見たいと思ったんだけど、機会を逸していました。

子どものころから憧れてたブータンにやっと行ったのは2003年。王様は先代で、まだ誰もが民族服を着ることが義務付けられていました。王様がゴー(民族服)を着て一般市民たちとサッカーに興じている、という話も聞いたなぁ。

この映画の制作は2017年。お寺や曼荼羅の色彩の美しさは何も変わらないけど、今は僧侶学校の子どもたちもスマホを持っててネットができるんだな。(2003年にはホテルのPCが使えず、町で唯一のインターネットカフェのPCを借りてメールを打ったのだ。インドでコンピュータの勉強をしてきた自称プログラマーの青年はExcelが少しできる程度だと言っていた)

あのときに見た、豪華な民族衣装を着こなしたオシャレな若者たちはどこに行ったんだろう?今回は若い少年少女の話だから出てこないだけかな。それとも、今はみんなインドから入ってきたアメリカ人みたいな服を着てるんだろうか。おばあさんたちの髪型はむしろ、30年も40年も前みたいで、最近の映画ってのが不思議な気もする。

ブータンには尼僧のための学校もあった。ゲンボ兄ちゃんは嫁をもらって家を継ぎ、タシのほうが学校に通って尼僧として家に残る…なんて結末になるといいと思って見てたけど、公式サイトで養老孟司が書いているように、この映画には「オチ」はない。(その辺がむしろ現代的)

改めて、ブータンは美しい国だなと思う。アチャラ(私もお祭りのとき「棒」で頭をこづかれましたw)の造形や色彩。踊りはかなり単純で行ったときは拍子抜けしたけど、改めて見ると雅に思える。チベット(という名の中国)との国境は封鎖されたままだろうから、インド系の顔立ちの子たちが増えてきてるんじゃないだろうか。何もなくて水洗トイレも少なかったけど、優しい国なんだ。いつかまた行けるといいな。あの国でもし客死してしまったら(きっと鳥葬にされるけど)極楽に一番近い気がする…。

ゲンボとタシの夢見るブータン

ゲンボとタシの夢見るブータン

  • 発売日: 2019/06/01
  • メディア: Prime Video