映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デイヴィッド・リンチ監督「ブルー・ベルベット」2471本目

満を持して?いまさらの?ブルー・ベルベット鑑賞。

あれほどリンチ監督の作品を、ツイン・ピークスの最初のシリーズから何からさかのぼって見たのに、この映画は20年前とかに見てそのままになってました。今見るとまったく、ツイン・ピークスやマルホランド・ドライブと共通の世界観;謎、死、ドライブイン、ナイトクラブ、赤い部屋、警察署、「ジェフリー」とか「ゴードン」、「in dreams I walk with you」っていう歌詞、穏やかな、または太った老女たち、変な姿勢の死体、はく製の動物…。当時は何も知らずに見て、覚えてたのはデニス・ホッパーとイザベル・ロッセリーニだけ。こんな重要なカイル・マクラクランとローラ・ダーンがすでに出てたのに、当時は知らなかった。

カイルがまだ初々しい。そして、耳。ローラもまだ可愛い女の子だ。この二人こんな昔から知り合い(cf ツイン・ピークス)…って違うか。イザベラ・ロッセリーニはデリケートできれい。ちょっと特徴のあるアクセントも。すこしエキゾチックな個性がこの映画では必要だったと思う。

ブルー・ベルベットの歌、公開当時、浅野ゆう子が歌ってたよねCMで。あれもわりと素敵でした。

出た、デニスホッパーの、笑気ガスみたいなものを吸いながら「マミー」…すごい本物っぽい変態っぷり。彼も、この映画作った人も、ぜったいすでに狂ってる。(実際そうだと思うけど)彼は愛嬌があってパワフルなので、ツイン・ピークスのボブみたいな”本当にヤバい感じ”とは、意外と違う。

多分当時、「なんて怖い映画なんだろう」って思いながら見たんだろうな、私。でも、なんとなく良いアメリカの人々、みたいにみょうに大団円で終わります。その後のリンチ監督作品をたくさん見てる私は、これがいかに短い、つかの間の安らぎか、よく知ってるのですが…。

特典映像に入ってる監督がまた若くて、若いのにあの通りで、なんとも不思議ですが、彼や出演者やスタッフたちが、かなり思いのたけを語ってくれているおかげで、映画の背景の理解が深まります。