夏帆とシム・ウンギョン。のっけから、調子乗った業界人っぽい夏帆、突然現れてパフェ食べて酔っぱらいみたいにハイテンションなシム・ウンギョン。私自身が「これから遊ぶぞー!」というテンションだったらいいけど、音声レベルが一定じゃないので何言ってるかわからないところも多くて、ちょっとストレスに感じてしまったりします。
監督のことを知りたくて、インタビュー記事を見てみたら、やっぱり、実際相当評価されてる敏腕CMディレクターなんだね。これほど”成功してる”感じの人でも、この映画の砂田(夏帆)みたいに、たそがれ時に自動車を運転しながら、茨城のおばあちゃんを見舞ったりしながら、こんなに自信がなくて自分が好きになれないのか。これほど田舎コンプレックスがあるのか。…ということがわかった。だとすると成功ってなんで目指すんだろう。目指すべきなのは「幸せ」だけでいいんじゃないか、普通のOLになってもイケてる業界人になってもどうせ満たされないんだったら。
といっても、この映画を作ることに駆られ、この映画に価値を持たせられるのは、すごく忙しい本業があって、休憩が必要な人だと思う。私もこの映画にとくに共感できなかったほうの一人なんだけど、それは今私が何にも追われてないからかも。不急不要なCMとか、仕事のための仕事のすきまをとにかく埋めるために、毎日がんばらなきゃいけない、と思って自分を奮い立たせてる人だけが共感できる状況だと思う。もしかしたら私も彼女たちくらいの頃に、子ども返りみたいな幼さをひきずってたかもしれない。
箱田監督がもっと年をとって一息ついて、あの頃なんであんなに走ってたんだろうと思い出す映画も、この先作ってくれたらいいなと思います。