パッと見、コッポラの映画に見えない。コントラスト強めの白黒映像、スペイン語が象徴的にとびかう町…ルイス・ブニュエルみたいだね。スペインが誇るカルメン・マウラ(ペドロ・アルモドバル監督の常連)やマリエル・ヴェルドゥ(「天国の口」など)、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ(「モーターサイクル・ダイアリーズ」)も出てるし、コッポラ監督のスペイン語圏文化への興味が爆発した作品か。スペインか中南米の映画のテイストが徹底されている感じ。
ヴィンセント・ギャロはかつてマット・ディロンがやった役割だなと思ったら、最初は彼にオファーがあったみたいですね。荒んでるけど澄んだ心と明晰な才能をもつ芸術家として説得力があります。弟を演じたオールデン・エアエンライクは、レオナルド・デカプリオの少年時代みたい。明るくて素直だけど一本気な感じが良いです。
結局これも、血の物語。家族ということが価値判断や行動や関係性、すべての基軸になるラテンの世界。しかしどうもやっぱり、スペインかメキシコの監督の映画のような趣きが強かったなー。
(カルメン・マウラが英語喋ってたー)